不動産系のフランチャイズって、いろいろあるけど、実際、どうなのかな?
こんなテーマに関する記事です。
不動産系のフランチャイズには、売買系、賃貸系など含め、いくつかのタイプがあります。
それぞれ特徴があり、また、注意点もあります。それらについて解説します。
不動産系のフランチャイズも、複数のブランドがあります。
実際に、どんな感じなのでしょうか?
もちろん、メリットとデメリットがあります。
また、ひとくちに「不動産系のフランチャイズ」といっても、そのタイプとして、
「売買」系や、「賃貸」系
や、あるいは、
「売買」プラス「リフォーム」
といったスタイルのフランチャイズもあります。
それらの内容や、加盟条件なども含めて、下記に、具体的な内容をみていきましょう。
不動産系のフランチャイズのタイプ比較
不動産系のフランチャイズのタイプとしては、
・売買系
・賃貸系
・売買+賃貸
・その他(「売買」プラス「リフォーム」など)
に分かれます。
例えば、街の不動産屋さんでも、売買主体の会社もあれば、賃貸主体の会社もあります。
不動産系のフランチャイズもそれと同じで、ブランドによって、
主力とする業務
が、違ってきます。
ですので、不動産系のフランチャイズを選ぶ際にも、実際の事業に関して、
どのような業務を主体にするのか
で、その選択の基準がかわってきます。
もちろん、フランチャイズに加盟しないで、自社のオリジナルのブランドで勝負するという選択肢もあります。
ちなみに、主なフランチャイズブランドとしては、下記のような先があります。
(店舗数は、2021年度の数字です。最新のデータは、各社のHPでご確認願います。)
タイプ別店舗数
売買系
ブランド名 | FC店舗 | 直営店舗 |
---|---|---|
センチュリー21 | 996 | 0 |
ハウスドゥ | 662 | 30 |
イエステーション | 170 | ? |
賃貸系
ブランド名 | FC店舗 | 直営店舗 |
---|---|---|
アパマンショップ | 1036 | 71 |
エイブル | 368 | 432 |
ホームメイト (東建コーポレーション) | 355 | 164 |
売買+賃貸
ブランド名 | FC店舗 | 直営店舗 |
---|---|---|
ピタットハウス | 551 | 116 |
LIXIL不動産ショップ(ERA) | 450 | 0 |
売買+リフォーム
ブランド名 | FC店舗 | 直営店舗 |
---|---|---|
リノベ不動産 | 200 | 2 |
賃貸管理会社向けリフォーム事業
ブランド名 | FC店舗 | 直営店舗 |
---|---|---|
リノッタ | 500 | ? |
タイプ別店舗数のデータからの考察
フランチャイズの一般的なチェックポイントとしては、
直営店比率
です。
よく言われることとして、良質なフランチャイズ本部は、
ある程度の直営店数
があるということです。
つまり、通常は、
直営店で事業が成功して、その後に、フランチャイズ展開をする
というステップを踏むからです。
もっとも、これは、一般的な見方ですので、あくまで、参考としての視点になります。
上記を見ると、本部がアメリカにあるフランチャイズの、
・センチュリー21
・LIXIL不動産ショップ(ERA)
は、直営店0というところが共通しています。
しかしながら、しっかりと、利益をだしている加盟店さんもありますので、個々の状況をみての判断になります。
ちなみに、首都圏では有名な「オープンハウス」という不動産会社(東京証券取引所プライム市場上場)も、もともと、センチュリー21の加盟店です。
不動産系のフランチャイズのメリット、デメリット
不動産会社系のフランチャイズへの加盟を検討する際には、メリットはもちろん、
デメリット
も十分認識した上で、加盟を検討することが大切になってきます。
下記に順に説明します。
メリット
ネームバリューによる集客力
不動産会社系のフランチャイズに加盟する最も大きなメリットとしては、
ブランドのネームバリュー
にあると言えます。
特に、不動産会社の場合、路面店が多く、看板やチラシ、HPを見ての
飛び込みのお客さん
も多い為、認知度の高い店名は、効果があります。
お客さん側の心理としても、初めの街の不動産会社には、なかなか入りづらいという一面があります。
そういう意味では、あまり有名ではない「不動産系のフランチャイズブランド」の場合は、ブランドのネームバリューによる効果が期待できない可能性はあります。
社員教育、営業ノウハウ、社員のモチベーション
フランチャイズ本部によっては、スタッフの教育やモチベーションアップに関して、力をいれているケースもあります。
街の不動産会社の場合、社員教育がなかなか難しい面があります。
そのような場合、フランチャイズ本部の実施する研修などへの参加や、教育ツール、営業ツールなどで、見識を高めることができる可能性があります。
また、成績の良い加盟店を表彰するようなイベントなどを実施しているフランチャイズ本部の場合、社員のモチベーションアップにもつながります。
デメリット
逆に、デメリットとしては、下記のような点があります。
加盟金、ロイヤリティー、月々の費用負担
フランチャイズの加盟後は、ロイヤリティーの他、毎月の費用負担が継続的に発生します。
その内容は、フランチャイズによっても異なってきますが、例えば、
ロイヤリティーは、仲介手数料の〇%
といった場合や、月々の費用負担に関しても、
システム利用料、広告宣伝費など
で、まとまった金額の負担が発生します。
結果、それらの費用で、
利益が圧迫されるリスク
があります。
もっとも、それ以上の売上げが上がれば良いのですが、費用負担が大きいと、事業の継続性にも大きな影響を及ぼす可能性もあります。
もちろん、ロイヤリティーの条件や、毎月の費用についても、それぞれのフランチャイズブランドによって異なってきますので、それらを確認しての判断になります。
営業ノウハウ、サポート
特に、不動産系のフランチャイズに限ったお話しではありませんが、
本部の営業ノウハウ、サポートが弱い
というケースもあります。
もっとも、あまり期待しすぎるのも、あまり良いとは言えませんが、少なくとも、
実際にどれくらいのレベルの営業ノウハウ、サポートがあるのか
は、事前に把握しておく必要があります。
加盟条件、費用
各社の加盟条件に関して、見て見ましょう。
最新のデータは、各社のHP等でご確認願います。もっとも、開示されていないケースもありますので、その場合は、個別に問い合わせての確認になります。
売買系
センチュリー21
項目 | 金額 |
---|---|
初期費用 | 150~300万円 |
毎月の費用 | 売上げに対する定率(参考;受取手数料の6%) システム費用(非公開) |
契約期間 | 5年 |
備考 | 加盟金等は、所在地によって異なります。 具体的な金額は、非公開です。 |
ハウスドゥ
項目 | 金額 |
---|---|
初期費用 | 加盟金;150万円 保証金;70万円 システム導入費;150万円 |
毎月の費用 | ロイヤリティ;月額固定11万円 広告分担金;3.3万円~ WEBシステム利用料;7万8980円 |
契約期間 | 3年 |
備考 | 広告は、使用する広告の種類によっても金額が異なります。 |
イエステーション
項目 | 金額 |
---|---|
初期費用 | 加盟金:110万円 |
毎月の費用 | 売買仲介手数料収入金額の1.75% 共育プロジェクト費;5,500円 |
契約期間 | 3年 |
備考 | 売買仲介手数料収入金額が300万円以下の方は57,750円 |
賃貸系
アパマンショップ
加盟条件は、出店エリア等によって異なる。
詳細は、個別の問合せでの対応。
エイブル
詳細は、個別の問合せでの対応。
ホームメイト(東建コーポレーション)
詳細は、個別の問合せでの対応。
(参考)加盟金25万円、ロイヤリティー7.5万円(月)
売買+賃貸
ピタットハウス
詳細は、個別の問合せでの対応。
LIXIL不動産ショップ(ERA)
詳細は、個別の問合せでの対応。
売買+リフォーム
リノベ不動産
項目 | 金額 |
---|---|
初期費用 | 加盟金396万円 |
毎月の費用 | 月会費(WEBシステム料金含む);16万円5000円 広告基金拠出金、その他; 3万3000円〜11万円 ロイヤリティー;条件に応じて設定 |
契約期間 | 5年 |
賃貸管理会社向けリフォーム事業
リノッタ
詳細は、個別の問合せでの対応。
不動産系フランチャイズの考察
各不動産系フランチャイズの考察内容について、下記に記載しています。
売買系
売買系のフランチャイズについては、それぞれ、特徴があります。
個人的な見解について記載します。
センチュリー21
センチュリー21は、TVCMも多く、認知度があるブランドです。
加盟店も、ある程度の規模の会社も多く、営業力のある加盟店も多い印象です。
1983年10月に、伊藤忠商事が米国のセンチュリー21と提携して事業をスタートしていますので、かなり古いフランチャイズと言えます。
フランチャイズ本部は、かなりスマートな経営をしているような印象で、スタンダード市場(証券コード8898)にも上場しています。
加盟後は、本部のサポートを期待するより、加盟店同志で競って、自力で数字を上げていくという色合いが強いように感じます。
ロイヤリティーも含めて、毎月の負担がそれなりにかかってきますので、毎月、コンスタントにある程度の売上げを確保していく必要があります。
もっとも、このことは、どのフランチャイズにもあてはまります。
ちなみに、加盟店の社員は、共通のブレザーを着用することになります。
ブレザーは、同じようなデザインですが、たしか、値段別(品質別)に3種類ほどあったと記憶しています。
余裕のある会社は、一番品質の良いブレザーを使用すると思われます。もちろん、実費での購入になります。
ハウスドゥ
後発のフランチャイズですが、加盟店数を一気に伸ばしたブランドです。
主に、他業種から不動産業に参入してくる企業の加盟の割合が多いのが特徴です。
ですので、加盟店の社長が、宅建士の免許を保有していない場合も、珍しくはありません。
その場合、宅建士の資格保有者を採用しての事業開始になります。
新規参入企業ですので、当然、不動産の取り引きの実務経験がありませんので、本部がサポートしたり、実務経験者を採用しての事業開始となります。
また、毎月の費用負担も、高めの設定になっています。
広告費用に関しては、聞いた話しによると、使用する広告の種類によって、負担額が細かく設定されているようです。
実務未経験の場合、個々の案件においては本部のサポートも限界がありますので、少なくとも、実務に明るいスタッフが必須と言えます。
イエステーション
不動産会社の経営、営業のノウハウについて、かなり、堅実な指導をしているという印象です。
加盟金、ロイヤリティーについても、良心的です。
地道に活動して、確実に数字を伸ばしていくというスタイルの事業です。
また、同一エリア内で、同じブランドの加盟店が競合しないように、配慮されてるのも、好感がもてます。
例えば、センチュリー21の場合、同じ市町村で複数の加盟店があるケースもありますが、イエステーションの場合は、しっかいとルール設定がなされています。
知名度は、これからの部分はありますが、安心感のあるブランドと言えます。
賃貸系
賃貸系のフランチャイズに関しては、加盟条件を公開していない先がほとんどですので、個別に問合せをすることになります。
また、ブランドによっては、扱う物件に偏りがある場合があります。
例えば、ホームメイトは、当然、東建コーポレーションの物件が主体になりますし、セキスイのMAST(シャーメゾンショップ)は、セキスイの物件がメインになります。
あるいは、アパマンショップやエイブルのように、特に偏りのないブランドもあります。
どのような方針、選択がよいかは、考え方次第になります。
また、主要な地域においては、既にメジャーなブランドのショップが存在しているケースもありますので、競合先を含めたマーケットの状況を見ての判断になります。
売買+賃貸系
ピタットハウス
ピタッとハウスは、売買と賃貸とも、バランスのとれたブランドという印象です。
初期に加盟した人に聞いたところ、加盟金等の条件についても、当初はかなり低かったとのことです。
また、直営店の比率も高く、要するに、立地の良い場所は、直営店がおさえているということが言えます。
認知度も高く、国内ブランドをいう安心感もあります。
LIXIL不動産ショップ(ERA)
LIXIL不動産ショップ(ERA)は、店舗数はそれなりに多いものの、まだ、認知度の低いブランドです。
また、ERA自体は、一応、世界で2300店舗を展開している不動産チェーンということです。
LIXIL系のブランドですので、本体は、大手の設備メーカーですので、不動産業の事業に、どこまで、熱を入れて経営しているのかが、ポイントになるように感じます。
売買+リフォーム
リノベ不動産
加盟金の設定が異様に高く、また、毎月の費用負担も、他のフランチャイズに比べて、高額なことが特徴です。
加盟金の高い理由は、加盟店営業に関する費用にかなりにコストをかけている可能性もあります。
この金額設定でも、フランチャイズ本部からの見込みユーザーの送客がコンスタンスに期待できれば、検討の余地があるかもれません。
しかしながら、通常のフランチャイズでは、見込みユーザーの送客件数の保証はありません。
また、保証をすること自体も、現実的に難しいでしょう。
そうなると、加盟金はともかく、毎月の費用負担のリスクは、かなり大きいものと考えざるをえないと言えます。
ただ、加盟店数が200店と越えていますので、なにか、評価できるポイントがあるのかもしれません。
賃貸管理会社向けリフォーム事業
リノッタ
賃貸管理会社向けに、賃貸物件向けリフォームのパッケージを提供するという、今までにないタイプのフランチャイズです。
管理している賃貸物件のリフォームは、本業に直結する領域です。
また、リフォームを低価格で、尚且つ、ユーザーニーズに合った形で提供できれば、物件オーナーにも喜ばれますのでので、まさに、需要の高い分野だと言えます。
管理物件に空室が多いような不動産会社にとっては、非常に、メリットのあるフランチャイズと言えます。
まとめ
不動産系のフランチャイズには、いろいろなパターンがあり、また、加盟金を含めた条件も、様々な内容になります。
それらを検討する際には、
不動産業務のなかの、どういった事業をメインとするのか
の方針を決めた上で、
そのフランチャイズに加盟することが適正かどうかの判断
をすることになります。
あまりブランド力の無いフランチャイズに加盟しても、その効果があまり見込めない可能性もあります。
また、毎月の費用負担などの条件が厳しい場合は、そもそも、利益が出にくい構造になってしまいます。
また、フランチャイズに加盟せずに、自社ブランドで勝負するという選択肢もあります。
いずれにしても、いろいろな選択肢を検討した上で、判断することが大切と言えます。
(参考)下記の「リフォーム新聞社」の資料に、不動産系のフランチャイズも含めた条件のデータが記載されていますので、参考になります。
https://www.reform-online.jp/news/FCVC2020.pdf
以上、「不動産のフランチャイズ」に関する説明でした。