フランチャイズに加盟して事業を始めた場合の
「成功率」
について知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
フランチャイズに加盟して事業をスタートした場合の成功率としては、実際のところどうなんでしょうか?
フランチャイズは、成功率が高いと言われていますが、現実は、一概にそうとは言えない面があります。
フランチャイズの成功率に関して、参考となる資料などをもとに、考察しています。
フランチャイズに加盟した場合の成功率とは、どれくらいなのでしょうか?
結論からいうと、
正確なデータ
はありませんが、
廃業率や、契約更新率
などから、ある程度類推することができます。
ただ、契約更新率に関しては、開示しているフランチャイズ本部は、限られています。
また、
成功率
に関しては、成功を、どのような状態として捉えるかによっても、その判断基準がかわってきます。
例えば、
少なくとも、年間で黒字になっていること
や、
一定の期間、事業を継続すること
を成功と捉える場合もあります。
下記に、詳しくみていきましょう。
フランチャイズで事業をスタートした場合の廃業率
下記に、いくつかの資料を元に、考察してみましょう。
自社のブランドで事業をスタートした場合と、フランチャイズに加盟して事業をスタートした場合とで、廃業率の違いは、どれくらいになりのでしょうか。
「フランチャイズ加盟店の経営実態と成功条件」というレポートからの考察
古いデータにはなりますが、
フランチャイズ加盟店の経営実態と成功条件(pdf)
のデータが参考になります。
このデータによると、2001年に開業した企業が2003年までに廃業した割合
は、
フランチャイズ非加盟企業は7.8%
なのに対し、
フランチャイズ加盟企業は14.4%
という数字になっています。
事業をスタートしてから、2年後の廃業率に関して、
フランチャイズ加盟企業のほうが、高い
という結果です。
つまり、
フランチャイズに加盟したからといって、成功率が高くなるとは言い難い
ということが言えます。
詳細は、下記ページにも記載しています。
「フランチャイズ投資入門」の書籍に記載されている内容、、
「フランチャイズ投資入門」という本があります。
本の筆者の体験を元にした書籍ですが、ここにも、フランチャイズによるビジネスの事業の継続率に関する記載があります。
フランチャイズ投資入門
内容的には、本の筆者が参加しているフランチャイズの勉強会の参加者の状況をもとにしたデータが書かれています。
それによると、5年後の事業の継続率は、
一般的な起業の場合は、 15%
フランチャイズの場合は、65%
となっています。
フランチャイズの場合の事業の継続率が、かなり高い数字です。
これは、フランチャイズの勉強会の参加者が、ある程度、経営の経験があることが影響していると推察されます。
また、一般的な起業の場合の数字が、低いようです。
一般的な起業の場合の数字としては、古いデータになりますが、中小企業白書2006年版によると、
5年後の事業の継続率の平均は、41.8%
となっています。
こちらの数字のほうが、現実味があります。
ここでの考察としては、ある程度、経営の経験があるケースにおいても、
フランチャイズの事業の継続率は、65%
であり、逆にいうと、
35%は、事業の継続が困難な状況になる
ということです。
更に、経営の経験が少ない場合は、その数値は、低くなる可能性があるということです。
もちろん、これらのデータは、総じての数値です。
経営の経験が少なくとも、事業をスタートして経験値をあげて、成功されている方もたくさんおられます。
ただ、フランチャイズに加盟したからといって、事業の継続が保証されているということではないということは、認識しておいたほうが良いと言えます。
参考;創業10年後の企業生存率はどれくらい?[中小企業白書より]
ある「おそうじ系」のフランチャイズの場合
以前、
「おそうじ系」のフランチャイズ
に加盟された方の体験談が記載されたサイトがありました。
※https://fly-life-eagle.com/franchise-failure-rate/ (現在は、サイトがなくなっています。)
それによると、
20代半ばから60代までの個人事業主7名と、企業3社
のうち、2年後のフランチャイズ更新手続をしたのは、
企業の1社のみ
で、残りは、更新しなかったとのことでした。
また、更新した1社も赤字という状況とのことです。
このようなフランチャイズも、特に珍しいことはないいうことです。
コンビニの契約更新率は?!
下記の公正取引員会のレポートに、コンビニエンスストアの契約更新率のデータが記載されています。
【参考】「コンビニエンスストア本部と加盟店 との取引等に関する実態調査報告書(令和2年9月)」pdf
下記のデータをみると、契約期間に関しては、3年,5年,7年,10年又は15年となっています。
契約の更新率に関しては、チェーンによって、かなりバラツキがあります。
中には、更新率が60%を下回る先もあります。
同じコンビニエンスストアという業態でも、これだけの差があるということです。
また、更新しないケースとして、
加盟店の判断で更新しない場合
はもちろん、
フランチャイズ本部の判断で更新しない場合
も含まれます。
フランチャイズ本部の判断で更新しない場合の理由としては、下記の理由が開示されています。
フランチャイズ本部の判断で、契約更新しなかった理由例
引用;https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/sep/kitori0902/200902_02.pdf
・契約期間中の加盟者の業績
・経営姿勢
・フランチャイズ契約の違反の有無
・本部との協調関係
・ 期間満了時の加盟者(加盟者が法人の場合はその代表者),店長,マネジャーの年齢,健康状態,意欲,適性 など
フランチャイズ契約は、フランチャイズ本部と加盟店の相互の合意に基づく契約ですので、上記のように、フランチャイズ本部側の判断で更新しないケースもありますので、注意が必要となります。
加盟店側が契約更新しなかった理由については、特に、開示はされていませんが、その多くは、
業績不振
が理由になっていることが推察されます。
また、中には、
途中解約
というケースもあります。
その場合の加盟店側の金銭に関する意見も開示されています。
・ 具体的にいくら払えば辞められるか分からない/説明されたことがない/具体的な事例で明文化し
引用;https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/sep/kitori0902/200902_02.pdf
て欲しい/ケース別の解約金が分からない
・ 本当に取るのか取らないのか不明確。本部の意向に沿わない場合,取ることもあるらしい
・ 契約書に基づいて計算するととても払えない金額となり辞めたくても辞められない
・ 長期契約で途中解約時に多額の違約金が必要なのは不安要素である
・ 払えないので契約満了まで無理するしかない
・ ある程度の契約期間が過ぎれば違約金の免除を検討して欲しい
・ 30年以上も加盟しているので,中途解約等の解約金は免除して欲しい
・ ある程度の違約金は必要だが,辞める理由などを考慮して支払の判断をすべき
・ ATM 撤去代など高額なものは本部負担にしてほしい
・ 毎月の店舗利益の3~5 か月分程度が妥当
・ 3 号店オープンの 3 か月後に妻が病気になり,本部に閉店の申入れをした結果,違約金は発生しなかった
・ 2 店舗のうち1店舗を閉店した際に違約金は取られなかった
・ ケースバイケースであるが合意解約として進めることがほとんどで解約金は発生しないのが実態
・ 本部の責任(出店ミス,ドミナントにより閉店を余儀なくされた等)による脱退には相応の賠償額が支払われるべき
・ 契約解除に値する重大な違反が発生し,それ相応の猶予期間を置いても改善されない場合のみペナルティを科すべき など
フランチャイズの契約の際には、
途中解約の際に、どのような条件になるのか?
また、
加盟店側の事情によっては、金銭的な考慮がなされるのか?
などについても、細かくチェックしておく必要があると言えます。
さいごに
フランチャイズに加盟することで、事業の成功率が高くなるというのは、データから見ると、必ずしも、正しくはありません。
データからは、
フランチャイズによる事業の継続率
は、
そのチェーンによって、かなりバラツキがある
ということが見て取れます。
また、比較的、成功率が高いフランチャイズチェーンにおいても、
事業の継続が困難になり、契約更新できないというケース
は、一定数、存在しており、事業の継続が困難という理由で契約更新できなかった場合、
その加盟店にとっては、結果的に、成功率はあまり意味のないデータ
ということになってしまいます。
もちろん、これは、ネガティブな面の考察にはなります。
通常は、ある程度の加盟店の数があるフランチャイズチェーンにおいては、継続的に利益を計上して、事業を継続している加盟店も、もちろん存在します。
ただフランチャイズビジネスも、加盟店は、独立した事業体ですので、
ビジネスをスタートするにあたっては、リスクも念頭においた上で、検討する
ということが大切になってきます。
ですので、検討しているフランチャイズがあれば、その実状もできるだけ把握した上で、加盟の可能性について判断されることが大切なポイントと言えます。
以上、フランチャイズの成功率に関する説明でした。